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「白門まちだ」に寄稿しました

中央大学学員会町田支部発行の「白門まちだVol.35」に短文を寄稿しました。

自己紹介の一環として、こちらに転載いたします。

美術との関わり

私は、母が絵を描いていたこともあり、美術が身近にある環境で育ちました。幼い頃は、部屋の壁一面に模造紙を貼ってもらい、大きな画面に自由に絵を描くことを楽しんでいました。しかし、小学校に入り、美術教育を受ける立場になると、幼い頃好きだった絵を描くことに対して、徐々に興味を失っていきました。気づくと自分にとって、学校の課題をこなすことが数少ない美術との関わりになっていました。

転機となったのは、大学に入り、人文知識への関心と共に文化的な事象全般に興味関心を抱いたことです。友人と共に一眼レフで写真を撮り始めたり、2年次になって入った社会思想のゼミ(土方直史先生)では、思想史を学ぶことへの導入として、美術史上の作家の作品から読み取れる意味について、各自が発表することもありました。絵を描く直接の契機となったのは、3年の春休みにヨーロッパへ行ったことです。2か月間、ロンドン市内の語学学校に通いながら、学校終了後に美術館や教会建築を見て歩いたり、時にはフランス、イタリア、スイスなどへと泊りがけで遠征し、各地の美術館や教会建築を見て回りました。日本にいては見ることのできない、ヨーロッパの古典絵画にじっくりと触れることで、自分のなかでも何かが変わって行くのを感じられました。特に、自宅に複製画が掛かっていたヤン・ファン・エイクの「赤いターバンの自画像」や、レオナルド・ダ・ヴィンチの作品に感動を覚えました。ヨーロッパから帰ると、早速絵画制作に取り掛かりました。絵画を描いていた母の手ほどきで、当初はアクリル絵具を用いて、幾何学的な抽象絵画を描いていました。自分が感じたヴィジョンを実際の作品として実現できたことに、とても満足感を覚えました。大学卒業後は、デザインの専門学校に通い、そこでデザインや絵画の技術について一通り学びました。その後、デザインの仕事をしながら、絵画制作を続け、個展やグループ展で発表をしたり、美術批評を書いて雑誌や書籍で発表する活動をしていました。

社会経験を積むうちに、徐々に法律に対する関心が強まり、行政書士試験に合格後、町田にて事務所を開設し、今に至ります。ライフワークとしての絵画制作は今後も続けながら、行政書士としては、新しい分野であるアート法務を手掛けていきたいと考えています。著作権を始めとする、知的財産に関する権利関係の処理や、埋蔵文化財法、博物館法等に付随する様々な行政手続きや、コンサルティングを通して、職業人としても文化の発展に寄与できれば嬉しく思っています。

(「白門まちだ」2020年春・夏 Vol.35)

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