外国人が、日本の国籍を取得したいと思ったとき、法務省に対し、帰化許可申請の手続きをしなければなりません。
帰化が許可されるためには、法律上6つの条件が必要となります(国籍法第5条)。
1 引き続き5年以上日本に住所を有すること(住所条件)
生活の本拠としての住所を持ち、5年の内少なくとも3年は就労系の在留資格を得て働いている期間が必要です。
ただし、下記のように日本と特別な関係を有する外国人の場合、1の条件が免除されることがあります(国籍法第6条~8条)。
①日本国民であつた者の子(養子を除く。)で引き続き三年以上日本に住所又は居所を有するもの
②日本で生まれた者で引き続き三年以上日本に住所若しくは居所を有し、又はその父若しくは母(養父母を除く。)が日本で生まれたもの
③引き続き十年以上日本に居所を有する者
④日本国民の配偶者たる外国人で引き続き三年以上日本に住所又は居所を有し、かつ、現に日本に住所を有するもの
⑤日本国民の配偶者たる外国人で婚姻の日から三年を経過し、かつ、引き続き一年以上日本に住所を有するもの
⑥日本国民の子(養子を除く。)で日本に住所を有するもの
⑦日本国民の養子で引き続き一年以上日本に住所を有し、かつ、縁組の時本国法により未成年であつたもの
⑧日本の国籍を失つた者(日本に帰化した後日本の国籍を失つた者を除く。)で日本に住所を有するもの
⑨日本で生まれ、かつ、出生の時から国籍を有しない者でその時から引き続き三年以上日本に住所を有するもの
(ご自身がこれらの条件に合致しているか、詳しくは当事務所にお問合せください)
2 20歳以上で本国法によって行為能力を有すること(能力条件)
現在の実年齢が20歳以上であり、同時に本国の法律でも成人とみなされる年齢でなければなりません。
世界には、日本よりも成人年齢が高い国もあれば、反対に低い国もありますので注意が必要です。
ただし、条件1の例外④から⑨を満たしている場合は、2の条件も免除されます。
子が親と一緒に帰化申請をした場合、親の帰化が認められると日本国民の子とみなされ、条件1の⑥にあてはまり、2の条件は不問となります。
3 素行が善良であること(素行条件)
漠然とした条件ですが、常識的な日本人の素行と比較して、劣らない程度とされています。
前科や犯罪歴だけではなく、税金や年金保険料をきちんと支払っているかについても調査されます。
税金に関しては、住民税まできちんと払っていることが必要です。
年金を未納している場合は、少なくとも直近一年分をさかのぼって支払い、領収書を提出することで審査が通る場合もあります。
過去の交通違反歴も調査されます。違反をしていた場合、事実を隠さず、申請書にきちんと記載しておかなければなりません。
審査当局は、嘘や不正を嫌います。
4 自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によって生計を営むことができること(生計条件)
在留資格とも共通するポイントですが、審査官は、帰化しようとしている外国人が国益にかなうか否かを気にします。
一定の経済力がなければ、犯罪を犯したり、生活保護費等による福祉予算がかかる恐れがあるからです。
自力で生計を営んでいることが理想ですが、夫や妻や子、両親などの親族に養われていてもかまいません。
生計を共にする親族の資産や技能を総合的に判断して審査されます。
同居していない親族からの仕送りで生活していても大丈夫です。
条件1の例外⑥から⑨を満たしている場合は、4の条件は免除されます。
5 国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によつてその国籍を失うべきこと(喪失条件)
帰化申請者は、無国籍であるか、日本国籍を取得することで、それまで有していた他国の国籍を失う者でなければなりません。
制度上多くの国では、他国の国籍を取得すると、当然にそれまで有していた国籍を失うことになるので問題はありませんが、まれに他の国籍を取得しなければ国籍を喪失できない国や、未成年者の国籍喪失を認めない国もあります。
また、難民のように、国籍離脱が事実上難しい立場に置かれた方もいます。
そのため、国籍法第5条2項において次のような救済措置が規定されています。
法務大臣は、外国人がその意思にかかわらずその国籍を失うことができない場合において、日本国民との親族関係又は境遇につき特別の事情があると認めるときは、その者が前項第五号に掲げる条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。
これは、日本人と結婚していたり、またはその子供である場合や、申請者が難民であるなど、人道的配慮が求められる場合に、法務大臣の裁量で帰化が認められる場合があるということです。
6 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入したことがないこと(思想条件)
当然ではありますが、テロリストや過激派のように、日本の政治体制を暴力によって破壊しようとするような思想を持つ外国人は帰化が許可されません。また、現憲法や政治体制を打倒しようとするような主張をする政党や団体を結成したり、加入したりしたことがある場合も同様です。
補足条件 日本語能力
国籍法には書かれてはいませんが、日本語で読み書きや会話ができるなどの、日本語を理解する能力が必要です。
基準としては、小学校3年生程度の日本語能力と言われていますので、それほど高度な能力は要求されていません。
ただし、帰化が許可されるためには、面接官との面接をクリアしなければなりません。
面接では、出生や職歴、家族の状況、健康状態、犯罪や違反経歴などが聞かれます。
これらのことについて準備しておくと共に、面接の際には嘘を言わず、正直に答えるようにしましょう。
当事務所では、希望される場合、帰化許可をされるための模擬面接を実施致します。
一緒にしっかりと準備をして、許可取得を成功させましょう。
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